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COLUMN

2025/3/5

中小・中堅企業の採用改善

戦略編1:採用したい人物像を明確にする

この記事を書いた人

PrimoPinguino株式会社 代表取締役

木下 峻一

採用改善の専門家。営業代行・事業立ち上げ代行の株式会社コンフィデンスで人事キャリアをスタートし、以降、IT企業(中堅)、コンサルティング企業(上場)、IT・DX支援企業(ベンチャー)で人事を務めた後、現職。「採用は営業」を信条とし、「営業代行で培った『売れるノウハウ』を『採れるノウハウ』に変換しての採用改善」に強みを持つ。東京商工会議所や全国の業界団体で「中小企業・中堅企業の採用改善」をテーマにしたセミナー・講演多数。

東京商工会議所ビジネスサポートデスク 専門家派遣制度 登録専門家
人的資本コーディネーター®検定 運営委員

シリーズ「採用難に勝つ(克)!中小企業・中堅企業の採用改善」(全10回)
3回目の本記事では、「戦略編1:採用したい人物像を明確にする」についてお伝えします。

※ 本シリーズ投稿は、商工会議所や業界団体で開催している採用力強化セミナーの内容の一部を再構成したものです。


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GUNSHI採用顧問・人事顧問


▼ このページの内容 ▼

採用したい人物像を明確にする4ステップ

  • 「現状」と「あるべき姿」、その間の差(ギャップ、乖離)を明確にする

  • 上記で明らかになった差を埋めるために、そのポジションに求めることは?(仕事内容の棚卸し)

  • 要件を決める(職務スキル面・職務遂行スタンス面・全社スタンス面)
    → 必須要件、歓迎要件

  • 自社が採用したい人物(ペルソナ)が抱えている(解決したいと思っている)悩みは?

事例を使って詳しく説明

ここからは、具体的な題材、実際に私が採用支援をさせていただいた経理スタッフ採用の事例をベースに説明していきます。

「現状」と「あるべき姿」、その間の差(ギャップ、乖離)を明確にする

まず、あるべき姿を挙げていきます。たとえば、「月次決算ができる」「会計士とコミュニケーションがとれる」といったように。

次に、現状を列挙していきます。たとえば、「月次決算ができていない」「記帳代行を使っているけれど体制が弱い」など。

こうしてみると、あるべき姿と現状の間には明確な差があることがわかるかと思います。この差を埋めるのが採用活動です。

上記で明らかになった差を埋めるために、そのポジションに求めることは?(仕事内容の棚卸し)

では、この差を埋めるために、そのポジションにどんなことを求めるのか…仕事内容の棚卸しをしていきます。

「請求書発行、売掛買掛管理、支払業務、月次決算補助……」といったようにばばーっと書き出していきます。そして、そこに「○」「△」「×」と優先順位をつけていきます。

仕事内容に優先順位を付ける理由

優先順位を付けるのには理由があります。理想は、上記で挙げたことを全部できる人だと思いますが、それは同時に採用のハードル(難易度)を上げることにもつながってしまいます。もちろん数年後にはこうなってもらいたいというのはありますが、募集時には、直近1~2年で最低限これができる人と決めることが重要です。そうすることで、採用ハードルを適切に下げることができます。むやみに妥協する必要はありませんが、「あれもほしい、これもほしい、もっともっと」となってしまうと、結局いつまで経っても採用できなかったり、より激しい競争(レッドオーシャン)の中で戦わないといけなかったり、採用費も給与等の待遇もそれ相応のものが必要になったりします。ですので、ぜひこちらの優先順位づけをしていただきたいです。

列挙したものに優先順位を付けていきます。今回のケースですと、「税理士や会計士がいるから、決算は1人でできなくても大丈夫」「仕訳・記帳はできたらありがたいけれど、現状でも代行がいるからできる」ので「△」や「×」。逆に、請求書発行や売掛買掛管理といった普段のお金まわりについては「絶対に必要」なので「○」。

このように洗い出しをして、重要度・優先度を決めてください。全部できる人の採用は難しくても、部分的にOKとすれば、激しい競争を避けられる可能性があります。

要件を決める(職務スキル面・職務遂行スタンス面・全社スタンス面)

次に要件を決めていきます。職務スキル面、職務遂行スタンス面、全社スタンス面の3つに分けます。

職務スキル面は、先ほど仕事の棚卸しをしていただいた内容がそのまま使えます。

職務遂行スタンス面は、職務の遂行にあたって持っておいてほしいことです。今回の経理スタッフの場合だと、ミスなく仕事ができること、嘘をついたり隠しごとをしないといったものが挙げられます。同じ会社内でも、経理の人と営業の人とで持っておいてほしいスタンスが異なることはよくありますし、職務職責によって求められるスタンスは変わってきますから、ここをしっかりと定義しておくことをおすすめします。

そのうえで全社スタンス面を決めます。これはすべての募集職種における共通事項、経営理念や行動規範、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスといったものが該当します。「同じ船」に乗っていただくにあたって、持っておいて欲しいことを決めます。

これら3つのスタンスの掛け算で、必須要件や選考基準をつくっていきます。

求人票に記載する必須要件、歓迎要件については職務スキル面が中心です。求人票に書けない(またはあまり書かない)基準(例:「ミスなくできる人」)は、面接や適性検査で見る観点、すなわち選考基準です。

今回のケースの場合、必須要件は「経理経験のある方、または簿記2級を持っている方」と定義しました。仕事の棚卸しと優先順位の設定の結果、経理経験者だけでなく、知識は持っているが実務は未経験の方も視野に入れることができました。仕事内容の棚卸しをして再定義することで、「実は未経験でも、こういったものを持っているならばいいのでは?」と新たな要件が見つかることも。それによって採用の可能性を広げることができるのです。

自社が採用したい人物(ペルソナ)が抱えている(解決したいと思っている)悩みは?

そのうえで、自社が採用したい人物(ペルソナ)が抱えている、解決したいと思っている悩みとは何かを考えます。求人(採用)は、企業と求職者のマッチング。ですので、自社の都合だけで求人をしてもうまくいきません。必ず、相手すなわち求職者のニーズを汲むことが必要です。

まず、「自社で働いてほしい人物像」を考えてみてください。今回の経理スタッフだと、たとえば主婦、30~50代、経理事務経験ありといったように。

次に、上で作った人物像のことをよ~~く想像してみてください(できれば、なりきってみてください)。「お子さんはいるかもしれないな」とか、「以前は第一線で働いていたけれど子育てが落ち着いたから職場復帰したいな」とか。1つに限らず、3つ4つ…とにかく多く挙げてみてください。

これは、マーケティングで「ペルソナ設定」と呼ばれているものなのですが、採用でもこの「ペルソナ設定」をすることで、自社が求めている人はどんな課題を解決したいと思っているか、相手すなわち求職者に寄り添うことができます。(最初からどんぴしゃ当たらなくてもOKです)

『採用は自社の課題解決だけでなく、求職者の課題解決でもある!求職者の悩みはニーズ!』

求職者が会社に求めていることは、決して給料のことだけではありません。給料は業界や地域の水準よりも少しでも高い方が良いのですが、「給料を上げさえすれば人が採れるようになる」という単純なものではありません。求職者は給料と合わせて、「自分に相応しい場所」「やりたい仕事ができること」「時短勤務可能」といった条件(ニーズ)も優先し、総合的に勘案して仕事を決めます。

実はこうしたニーズは、求職者自身もうまく分解しきれていないことがあります。ですので、逆にこちらから「こういうことに悩んでいるかもしれない」とよく考えた仮説を持ったうえでコミュニケーションを取ると、「そうだ、私はそういうことを考えていたんだ」「この会社はそういうことをきちんとわかってくれるのか」「ここだったら仕事ができるかもしれないな」と思ってもらえることもあります。ここが、中小企業・中堅企業の勝負ポイントです!

さて、今回のケースでいうと、たとえば「1日4時間から働けるといいな」「経理経験を生かして仕事をしたい」「雰囲気が悪くない会社で柔軟に働きたい」といった悩みをペルソナは抱えているであろうと仮説を立てます。そこから、「1日4時間」「経理経験」に着目することで、「時短勤務OK!1日4時間~、週3日~の経理スタッフ」というコンセプトをつくることができるのです。

本記事のまとめ

採用したい人物像を明確にする4ステップ

  • 「現状」と「あるべき姿」、その間の差(ギャップ、乖離)を明確にする

  • 上記で明らかになった差を埋めるために、そのポジションに求めることは?(仕事内容の棚卸し)

  • 要件を決める(職務スキル面・職務遂行スタンス面・全社スタンス面)
    → 必須要件、歓迎要件

  • 自社が採用したい人物(ペルソナ)が抱えている(解決したいと思っている)悩みは?

ポイント

  • 『採用は自社の課題解決だけでなく、求職者の課題解決でもある!』

  • 『求職者の悩み=需要(ニーズ)』

「なんとなく正社員」「なんとなくこんな人」という曖昧な人物像設定から脱却することで、採用の可能性をUPさせることができます。そして、人物像をしっかりと作ることで、その先の求人票への落とし込みや採用手法の選び方も最適化することができるのです。少し大変ですが、ぜひやってみてください。

次回は、「戦略編2:自社が提供できる価値やメリットを明確にする」をお届けします。


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本記事の一部または全部の無断転載および二次利用を固く禁じます。
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