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COLUMN

2025/3/12

中小・中堅企業の採用改善

戦略編2:自社が提供できる価値やメリットを明確にする

この記事を書いた人

PrimoPinguino株式会社 代表取締役

木下 峻一

採用改善の専門家。営業代行・事業立ち上げ代行の株式会社コンフィデンスで人事キャリアをスタートし、以降、IT企業(中堅)、コンサルティング企業(上場)、IT・DX支援企業(ベンチャー)で人事を務めた後、現職。「採用は営業」を信条とし、「営業代行で培った『売れるノウハウ』を『採れるノウハウ』に変換しての採用改善」に強みを持つ。東京商工会議所や全国の業界団体で「中小企業・中堅企業の採用改善」をテーマにしたセミナー・講演多数。

東京商工会議所ビジネスサポートデスク 専門家派遣制度 登録専門家
人的資本コーディネーター®検定 運営委員

シリーズ「採用難に勝つ(克)!中小企業・中堅企業の採用改善」(全10回)
4回目の本記事では、「戦略編2:自社が提供できる価値やメリットを明確にする」についてお伝えします。

※ 本シリーズ投稿は、商工会議所や業界団体で開催している採用力強化セミナーの内容の一部を再構成したものです。


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GUNSHI採用顧問・人事顧問


▼ このページの内容 ▼

自社が提供できる価値やメリットを明確にする

  • SWOT分析(採用における強み・弱みは?機会・脅威は?)

  • 自社(Company)、競合(Competitor)、求職者(Client)の3つの観点で分析する(=3C分析)

  • 強みと機会を組み合わせたら?(クロスSWOT分析)

コンセプト(ストーリーの軸)に落とし込む

  • ターゲット(どういう求職者にアプローチする?)

  • 特徴・強み(自社のどの特徴や強みを活かす?)

  • ニーズ(求職者にどんな価値を発信、提供する?)

はじめに:SWOT分析とは

SWOT分析は、組織や個人が目標を達成するために、現状を分析する手法です。強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの観点から自身を取り巻く環境を評価し、打ち手や対策を検討していきます。

本記事をご覧の皆様におかれては、経営戦略や事業戦略づくりでSWOT分析をされた方も多いかと思います。それとまったく同じことを、採用においてもやってみていただきたいというのが本記事の趣旨です。

初めてSWOT分析をされる方やなんとなく苦手とされている方に、私がセミナーでお伝えしているポイントがあるので、ご紹介します。(この方法は、採用に限らず、経営や事業のSWOT分析においても有効です。)

  • とにかく量を書き出す(できれば1つの項目に10個以上。とくに、強みは多く書き出してください)

  • かっこつけた/気の利いた文言で書く必要なし。思いついたら、思いついたままに、まずはどんどん書いてみてください

  • キーワードで抽象的に書くのではなく、具体的に書いてみてください(箇条書き程度の文でOKです)

そして、一番重要なことは、分析して完了ではなく、戦略や方向性、コンセプトの策定につなげること。とくに、採用においては「強みをどう活かすか」がポイントです。

クロスSWOT分析 ~強みと機会を組み合わせたら

SWOT分析で、強みや弱み、機会、脅威の洗い出しが終わったら、次はそれぞれの要素を掛け合わせていきます。全部で4つの組み合わせがあります。

  • 強み×機会 → 強みを活かして機会(チャンス)を勝ち取る「積極化戦略」

  • 強み×脅威 → 強みを活かして脅威(リスク)を機会(チャンス)に変える「差別化戦略」

  • 弱み×機会 → 弱みを補強して機会(チャンス)をつかむ「段階的施策」

  • 弱み×脅威 → 弱みから最悪のシナリオを回避する「専守防衛・撤退」

この4つの組み合わせ(観点)はどれも重要ですが、採用SWOT分析、とくに採用のコンセプトづくりにおいては、「強み×機会」の積極化戦略が重要です。そのため、SWOT分析で、強みをとくに多く書き出す必要があるのです。

「強み×機会」でコンセプトを作りつつ、「弱み×脅威」で差別化を模索したり、「弱み×機会」で段階的に弱みの補強を行ったり。場合によっては、専守防衛・撤退・・・採用だけでなく機械化やシステム、AI、RPAへの一部または全部の置き換えといったことも視野に入れていく必要があるかもしれません。

「強み×機会」で方向性が決まったら、先につくった採用したい人物像(※詳しくは、Vol.3「戦略編1:採用したい人物像を明確にする」を参照)とも絡めながら、コンセプト(=ストーリーの軸)に落とし込んでいきます。

コンセプト(ストーリーの軸)に落とし込む

採用したい人物像に、「強み×機会」で決まった方向性をかけ合わせて、求人のコンセプト(ストーリーの軸)を決めていきます。次の3つの観点で、やってみてください。

  • ターゲット(どういう求職者にアプローチする?)

  • 特徴・強み(自社のどの特徴や強みを活かす?)

  • ニーズ(求職者にどんな価値を発信、提供する?)

重要なのは、どうやって売り込むかではなく、どんな価値を発信、提供するかという観点です。前回の記事で、『採用は自社の課題解決だけでなく、求職者の課題解決でもある!』、『求職者の悩み=需要(ニーズ)』とお伝えをしましたが、まさにこのコンセプトづくりにも言えることなのです。かつては、売り込むだけでも採用ができた時代もありましたが、労働者人口が減り、働き方も価値観も多様化してきた昨今においては、残念ながら売り込みだけで採用できるのは、超有名な企業、超有名なサービスや商品を持っている企業だけです。(そのような企業でも、売り込みだけでは苦戦しているのが現実なのです。)

このコンセプト(ストーリーの軸)は、最後の方で必要となってくる求人媒体の選択でも大いに役立ちます。選定における判断基準になるだけでなく、求人媒体の営業の方とも明確に方向性を共有できるので、"ズレた"提案が減ります。仮に、そういった提案があったとしても、コンセプトが基準となるので、見極めることができるようになります。

身近なサービスにおけるSWOT分析~コンセプト落とし込みの例

ここで、採用から少し離れて、身近なサービスにおけるSWOT分析~クロスSWOT分析~コンセプト化について、触れてみたいと思います。

今回、例にあげるのは、コンビニコーヒーです。コンビニコーヒーは、いまでこそ日本全国ほとんどのコンビニで買えるようになり、各社様々な特徴とカラーがありますが、その先駆けかつ大成功を収め代名詞的な存在になったのは、ある国内大手のコンビニチェーンです。その事業環境を、筆者の独断と偏見でSWOT分析~コンセプト化してみました。(よって、公式見解や公式発表の情報ではないため、社名およびサービス名の明記は控えさせていただきます)

その要素の一部を取り出すと、

  • 強み:全国に2万を超える店舗を持つ国内最大のコンビニチェーン、47都道府県すべてに店舗がある

  • 機会:世の中は低価格志向(当時)、コーヒーブームの到来、毎日コーヒーを飲むのが健康に良いことが判明した

そこで、日本全国に展開している強みと、低価格志向という機会を掛け合わせ、コーヒーを日本全国どこでも1杯100円で販売するという戦略を立てて実行。結果、大ヒットしました。

この戦略をコンセプト(ストーリー軸)に落とし込むと、このようになります。

  • ターゲット:おいしいコーヒーを気軽に飲みたいと思っている消費者

  • 特徴や強み:全国に2万超ある店舗網

  • ニーズ:本格挽きたてコーヒーがいつでもどこでも1杯100円で飲める環境を提供

筆者もコーヒーが好きで、このサービスはよく使います。出勤時に挽きたてコーヒーを買ってオフィスで飲みながらメールチェック・・・よくやっていました笑。もっとも身近と言えるお店であるコンビニで、日本全国どこでも同じクオリティ・同じ値段(しかも当時は1杯100円!)で挽きたてコーヒーが飲めるこのサービスは、案の定、消費者のハートを掴みました。その後、他のコンビニチェーンも追随をしていくわけですが、事業環境を分析していくと、スケールメリット含めて、やはり国内最大のコンビニチェーンだからこそなし得たことなのだと思います。(余談ですが、この成功の影には、専用の機械開発そして80年代から続く挑戦、執念あってのことのようです。)

上の例は身近なサービスにおけるマーケティングの話ですが、採用においても「どんな価値を提供、発信するか」が大事な時代だからこそ、マーケティングで実施するようなコンセプト立案が重要なのです。(マーケティングや営業で使われている考え方やスタンスは、実は採用においても有効なものもあり、採用に成功している会社はそれらをうまく取り入れていることが多いのです。)

本記事のまとめ

自社が提供できる価値やメリットを明確にする

  • SWOT分析(採用における強み・弱みは?機会・脅威は?)

  • 自社(Company)、競合(Competitor)、求職者(Client)の3つの観点で分析する(=3C分析)

  • 強みと機会を組み合わせたら?(クロスSWOT分析)

コンセプト(ストーリーの軸)に落とし込む

  • ターゲット(どういう求職者にアプローチする?)

  • 特徴・強み(自社のどの特徴や強みを活かす?)

  • ニーズ(求職者にどんな価値を発信、提供する?)

ポイント

  • 『採用は自社の課題解決だけでなく、求職者の課題解決でもある!』

  • 『求職者の悩み=需要(ニーズ)』

コンセプト立案の方法は様々ありますが、もっともわかりやすくなおかつすぐにやりやすいのが、このSWOT分析とクロスSWOT分析による方法です。まずは、気軽に(あえてこの表現を使います)戦略とコンセプトを作って、小さくはじめてみる。そして検証改善をして、より自社に合うものに変えていく。これこそが、採用改善の要なのです。

次回は、「ストーリー編:戦略編で整理した内容を求人票や会社紹介に落とし込む」をお届けします。

お断り:「戦略」の立案は、本記事で触れたSWOT分析や3C分析のほかにも様々な分析手法を組み合わせることが本来は望ましいのですが、当社では「これだったらウチの会社でもできるな」「やってみよう」と感じてもらってすぐに行動につなげていただくことをもっとも大事にしているため、あえて簡易的に(かつ効果につながりやすい方法に)絞ってお伝えしています。ご了承ください。


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© Shunichi Kinoshita & PrimoPinguino Co., Ltd.
本記事の一部または全部の無断転載および二次利用を固く禁じます。
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